マサキの部屋

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レインボーマン ドクター・ボーグの執念のサイボーグ軍団

これまで何度も語ってきたレインボーマンだが、今回はレインボーマンの最終シリーズ・第4クールのサイボーグ軍団編に登場する死ね死ね団の科学者ドクター・ボーグについて語っていきたい。

サイボーグ軍団編

レインボーマンは4クールでフィナーレを迎えるのだが、その4クールのサイボーグ軍団編は死ね死ね団レインボーマンが共に強化され、戦いは熾烈を極めていく。そう、サイボーグ軍団編は最終シリーズに相応しい盛り上がりを見せていくのだ。

レインボーマンによってこれまでの計画を阻止されてきたミスターKは、ついにレインボーマン抹殺のために女性幹部達を人間サイボーグに改造する。人間サイボーグとなった女性幹部達は強力な武器でレインボーマンを追い詰める。数々の戦いに勝利してきたレインボーマンもサイボーグ達の武器の前では防戦一方だった。

サイボーグ化された女性幹部のひとり、キャシー(演:高樹蓉子)がもはや生身の人間ではなくなったことに悲しみ、目から潤滑油の涙を流すシーンが存在する。逆説的ではあるが仮面ライダーの番組初期の改造人間にされた苦悩を抱える本郷猛と通じるものがある。敵ながら、女の涙で訴えてくるのはつくづく卑怯な番組だなぁと思う。そりゃ人気も出るはずだ。

女性幹部達を人間サイボーグに改造したのは死ね死ね団の科学者ドクター・ボーグ(演:長沢大)。ドクター・ボーグは人間の細胞を硬化させつつ、遠隔操作可能なサイボーグにするボーグαの開発に着手。ボーグαは完成せずに数時間で効力が切れてしまう試作品ではあったが、タケシの友人もボーグαによってサイボーグ化されたりと、劇中で猛威を振う。ボーグαは拳銃の弾丸に仕込まれており、人間の首筋に撃ち込むことで人間をサイボーグ化する。原理、構造は明らかではないが、人間の体に機械を埋め込むという意味でのサイボーグだと思われる。サイボーグはサイバネティク・オーガニズムの略でウィキペディアによると、ペースメーカーもサイボーグの概念である。

例外ではあるが、ボーグαを撃ち込まれた農夫と、たまたま農夫の首筋にいたカマキリが融合し、カマキリ男という突然変異のサイボーグが誕生する。

サイボーグ軍団編は改造手術による人間サイボーグと、機械を埋め込まれた人間のサイボーグという二種類のサイボーグの軍団との戦いである。

また、殺人プロフェッショナルのリーダーでレインボーマンに倒された魔女イグアナ(演:塩沢とき)母・ゴッド・イグアナ(演:曽我町子)が登場、レインボーマンを執拗に狙い、レインボーマンを巡って死ね死ね団とも小競り合い、レインボーマンvs死ね死ね団vsゴッド・イグアナという三つ巴の構図になっていった。

レインボーマンは度重なるピンチの中、サイボーグ達に対抗するため、新たな修行でレインボークロスを会得する。レインボークロスは基本形態のダッシュ7でありながら、別の二つの化身の術を使用することができる。レインボークロスによって圧倒的に強化されたレインボーマンは最後の戦いに活路を見出した。

かくしてレインボーマン・サイボーグ軍団編はシリーズ最大級の戦いが繰り広げられたのだ!!

ドクター・ボーグという執念の塊

ドクター・ボーグは第40話から登場。だが第40話では顔見せ程度の登場で、本格的に登場するのは第42話からである。

登場回リストとオープニングテロップ表記

第40話 「ダイヤモンド略奪作戦」

テロップ "ドクター・ボーグ"

第42話 「追跡1000キロ!」

テロップ "ボーク(原文ママ)"

第43話 「太陽とみどりに誓う!」

テロップ "ボーク博士(原文ママ)"

第44話「レインボー合体の術」

テロップ "ボーグ博士"

第45話 「ドクター・ボーグの執念」

テロップ "ボーグ博士"

第46話「サイボーグ奴隷部隊」(回想シーンだが、新撮となっているため) 

テロップ "ドクター・ボーグ"

テロップ表記が安定しないのはご愛嬌。それも当時の作品の味と言える。そういう所も含めて昔の作品が大好きである。

サイボーグ軍団編において重要人物のドクター・ボーグの出演回数は意外と少ない。だが出演回数に反して、ドクター・ボーグの印象は非常に強い。

まず、ドクター・ボーグの容姿である。歴史上の偉大な音楽家のような金髪のヘアースタイルで、白衣を身に纏っている。物凄いインパクトで、一度見たら忘れることは出来ないだろう。ドクター・ボーグを演じた長沢大氏の普段のヘアースタイルは短めの横分けで、ドクター・ボーグのヘアースタイルのイメージと合わない。だが少しずつ見慣れていくと結構しっくりきていると思えてくる。レインボーマン ダイヤモンド・アイ コンドールマン大全(岩佐陽一 編 双葉社)の長沢大氏へのインタビューによると、長沢大氏はドクター・ボーグのカツラを被るのに、最初抵抗があったそうだ。

逆に言えばドクター・ボーグの容姿こそ、ドクター・ボーグのアイデンティティであり、彼の秘めた執念を引き立ている。

第45話「ドクター・ボーグの執念」にて、ドクター・ボーグが死ね死ね団に所属した経緯が語られる。

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ボーグは元々町医者であったが、戦時中に日本軍医によって妻を殺された。ボーグは妻を殺した軍医に復讐を果たしたものの、憎しみは消えず、日本人抹殺計画を掲げるミスターKに同調したのだった。

劇中ではボーグの妻の死因は明らかにされていないが、前述のレインボーマン ダイヤモンド・アイ コンドールマン大全(岩佐陽一 編 双葉社)によると、脚本では妻の死因は毒ガス人体実験によるものとなっている。

同話のボーグαの人体実験のシーンでは被験者が次々に死に、その死に方が生々しく残酷なのだが多分、妻の死因ともダブらせていた可能性がある。

死ね死ね団のボス・ミスターKは他の部下に比べてドクター・ボーグを特別扱いしており、ボーグαが完成せず焦るドクター・ボーグに「あなたならできる」と激励し、ドクター・ボーグの前述の境遇に対しては「私も同じような境遇だ」と発言。ミスターKは部下というよりも、仲間の認識と思われる(ミスターKとドクター・ボーグの会話のシーンはただならぬ空気感であり、必見である)。

ドクター・ボーグは死ね死ね団の中で唯一、バックボーンが語られた人物である。またバックボーンが語られたことによって記号のような悪の科学者から、別格の存在となったと言えるだろう。

「私が死んでも・・・、私の執念は死なない・・・。」

第45話 「ドクター・ボーグの執念」より

彼の末恐ろしい執念が最後までレインボーマンと日本人に襲いかかる。そしてミスターKもたかが外れたように暴走を開始する。

レインボーマン死ね死ね団の戦いの結末は如何に!?

 

レインボーマン サイボーグ軍団編 DVD

ドクターボーグが登場するのはVol.7

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タケシ発狂!!レインボーマン 第9話「タケシを狂わせろ」

引き続き、今回もレインボーマンについて語りたい。今回は主人公タケシが発狂してしまう、第9話「タケシを狂わせろ」について語る。

第9話「タケシを狂わせろ」はレインボーマンの1クール目のキャッツアイ作戦にあたり、番組開始からその過激路線はキレッキレッで、むしろ攻め過ぎている。子供番組だからといっても全く手加減はしないというストロングスタイル的姿勢であり、多少荒削りな部分もあるがそれが現在の作品としての評価に繋がっていると思う。レインボーは1年間、全くテイストが変わらず走りきった。

キャッツアイ作戦とは?

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(※画像はあくまでイメージです ぱくたそ-フリー素材)

キャッツアイは人間を狂死させる恐ろしい薬である。キャッツアイを飲んだ人間はたちまち発狂し、人に掴み掛かったり、支離滅裂な言動をした後、当然死を遂げる。その死の間際、犠牲者の目が猫の目のように光る。

死ね死ね団はキャッツアイの錠剤を飲物に混入し、日本人抹殺を図った。その被害は謎の自殺という形で報道され、かなりの犠牲者を出していた。

タケシと日本人抹殺を企む死ね死ね団の出会いは第4話「マカオの殺人ショウ」で、敵組織が登場するのにここまで時間が掛かったのも珍しい。マカオ死ね死ね団と攻防を繰り広げた後、第7話「キャッツアイ作戦上陸す」において、やっと死ね死ね団の日本での活動が始まり、第8話「ひとりぼっちの戦い」では、タケシは周囲の人間に死ね死ね団の日本人抹殺の陰謀を話すが荒唐無稽だと信じてもらえず、自らに課せられた使命に苦悩する。

肩にせおった 十字架の

使命の重さに たえかねて

「ヤマトタケシの歌」 作詞 川内康範 作曲 北原じゅん 歌 安永憲自(現:水島裕) ヤングフレッシュ

まさにその通りである。劇中でもこの部分が流れていた。

そして第9話「タケシを狂わせろ」で、改めて死ね死ね団との戦いを決意したタケシが、その死ね死ね団のキャッツアイによって狂わせられるといういわば最高の皮肉であり、死ね死ね団の恐ろしさを再確認させる。

そもそもであるが、日本人を狂死させるという恐ろしい作戦を繰り広げることが凄い。死ね死ね団の日本人に対する憎悪が本物であることが伝わってくる。やってることはまるで90年代に流行っていたオカルト系の陰謀論と同じだが、特撮番組で人種差別組織の陰謀が描かれたのは先にもレインボーマンくらいだろう。死ね死ね団はマジで"死ね死ね"団なのだ。

第9話 「タケシを狂わせろ」

脚本 伊東恒久 監督 山田健

あらすじ

死ね死ね団はタケシ抹殺を試みて失敗するが、タケシが先輩堀田の友人・北村刑事と接触したことをキャッチ。死ね死ね団は口封じのため、知らぬ間にキャッツアイをタケシに飲ませた。キャッツアイによって徐々に精神に異常をきたすタケシは堀田に精神病院に連れられる。だがその病院は死ね死ね団の息がかかっていた・・・。

本作の見所はたくさんある。まず、死ね死ね団がいかにタケシを狂わすか、女性幹部ダイアナ(演:山吹まゆみ)率いる女性団員の華麗なるチームワークが前半を盛り上げる。タケシの尾行に始まり、喫茶店にてタケシの飲み物に立ち眩みを装ってキャッツアイを混入に成功するものの、勢い余ってグラスごと倒してしまったりと、タケシがキャッツアイを口にするまでの過程がちょっとしたサスペンス仕立ててとなっていてなかなか面白い。

本作の最大の見所、タケシがキャッツアイによって狂うシーンであるが、それだけでもレインボーマンは見る価値のある作品である。

急に振り返って「殺されてたまるか!」と叫んだり、通りすがりの女性に「母ちゃん!」と呼び止め、屋上のフェンスから身を乗り出して「おーい、魚は釣れたか!」など、タケシを演じる水谷邦久氏の熱演が凄い。敵との戦いにおいて"受けの演技"に定評があるが、狂うという事に全力で振り切っていて、思わず見入ってしまう。

タケシは死ね死ね団の息のかかった精神病院に連れて行かれるのだが、そこにはキャッツアイの進行が遅い特異体質の人間が檻に収容されている(タケシも特異体質)。だが、その人達の描写がものスゴくやばい。キャッツアイという人を狂わすというものが登場する性質上、本作は放送禁止用語が連発するので、そのヤバさに輪をかけている。攻め過ぎていろいろとアウトである。

また、堀田先輩(演:黒木進 現:小野武彦)出演シーンも多いのでそれも見所の一つであろう。次回では大活躍である。

戦闘シーンは冒頭で終了し、それ以降は全く化身しないところも本作のポイント。レインボーマンにはお約束等の予定調和が存在せず、あくまでストーリー重視なのである。

タケシはこのピンチをどうやって脱するのか?

見たことない人はご自身の目で確認してもらうとして、最後にレインボーマンのメインライター伊東恒久氏のインタビューを引用してこの記事を締めたい。なぜ、レインボーマンはここまで過激路線なのか、それついて触れてある。

人を狂わせる薬物をばら撒くとか、日本への輸入をすべて閉ざすとか、そんなことを本気で考えるミスターKの幼児性がこわいと思うんです。宗教を一度信じてしまったらそこから抜け出せない、みたいな。絵空事ではない怖さがある。

(略)

とにかく『レインボーマン』をリアルな作品をしようと思ってました。こういうドラマはそれまで無かったと思うです。だから、こういう物語をまじめにやって行きたかったですね。それに子供番組でこんなことをやっているのかと、驚かせる狙いもありましたね。

2015年10月8日インタビュー 文・構成 石井良和 愛の戦士 レインボーマン Vol.2 キャッツアイ作戦 2 冊子 より 

 

レインボーマン キャッツアイ作戦編 DVD

第8話「タケシを狂わせろ」が収録されているのはVOL.2

愛の戦士レインボーマンVOL.1 [DVD]

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愛の戦士レインボーマンVOL.2 [DVD]

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レインボーマン 第22話 「一億人を救え!!」

今回は前回に続き、レインボーマンの主人公ヤマトタケシを象徴するエピソード、第22話「一億人を救え!!」について語りたい。

「一億人を救え!!」

壮大なサブタイトルである。だがタイトルに恥じず、一億人を救うために奮闘するタケシが描かれた素晴らしい回だ。

まず、「一億人を救え!!」を語る前に説明して置かなければならないのはレインボーマンは一話完結ではなく、1クールで物語が完結する連続ものであり、全52話4クールのレインボーマンは四つのシリーズに分けられる。

・第1〜13話 キャッツアイ作戦編

・第14〜26話 M作戦編

・第27〜39話 モグラート編

・第40〜52話 サイボーグ軍団編

第22話「一億人を救え!!」はM作戦編で、レインボーマンの中でM作戦編は非常に盛り上がったシリーズだった。

そもそもM作戦とは死ね死ね団による日本経済混乱作戦のことである。

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その方法は秘密工場で大量生産したニセ札を宗教団体御多福会の各支部の信者にお守りとして配布し、日本全土に流通させていく。そのニセ札によって日本経済は大混乱、貨幣の信用は落ち物価は跳ね上がった。

・きゅうり 1本 500円

・にら 1束 500円

・パン 2つで1000円 

レインボーマン ダイヤモンド☆アイ コンドールマン大全 70's川内康範ヒーローの世界」(岩佐陽一編) より抜粋

これが劇中での物価の上がりようである。死ね死ね団の陰謀が着実に日本人の生活に影響を及ぼしていることが具体的に描かれていく。また、M作戦と並行しレインボーマン暗殺の7人の殺人プロフェッショナルが登場。2クール目でやっとレインボーマンと怪人の対決が描かれた。この7人の殺人プロフェッショナルの造形は基本的に市販のマスクの改造や全身タイツで、チープという見方もあるが、逆にそれが個性的である。特に大月ウルフ氏演じる殺人プロフェッショナル電気人間エルバンダは一際目立っている。なんとマザコンで、それに輪をかけた大月ウルフ氏のいつもの妙なセリフ回し。エルバンダに関しては造形ではなく、キャラクターだけで怪人として成立している。

さらには行方不明のタケシの父・ヤマト一郎の手がかりを探すストーリーも描かれる。M作戦編はレインボーマンのシリーズ中でターニングポイントと言える存在だ。

第22話 「一億人を救え!!」

脚本 伊東恒久 監督 砂原博泰

あらすじ

M作戦の重要な拠点は破壊されたが、以前経済混乱はとどまることを知らず、日本人の生活苦はピークに達し、暴動や一家心中など悲惨な出来事が相次ぐ。タケシはこの状況を打開するために食糧の無償配給を政府に直訴。だが、その裏で死ね死ね団は捕らえていたヤマト一郎を切り札として日本に呼び寄せていた。

暴徒と化した老若男女が食べ物を奪い合い、生の野菜を丸かじりする衝撃的なシーンで幕を開け、警察に連行される暴徒の男が「一家心中するより捕まって臭い飯を喰う方がマシ」と吐き捨てるという、終末感漂うハードな展開。

タケシはレインボーマンに化身、意を決して首相官邸?の窓から乗り込み、大臣に食糧の無償配給を訴える。だが大臣の側近に暴徒を蔓延らせるだけと反論される。

(第20話にもレインボーマンは国会の経済混乱対策委員会に乗り込み、経済混乱は死ね死ね団の仕業だと大臣に訴えている)

それに対しての次のレインボーマンのセリフが凄い。

「みんなは暴徒なんかじゃありません!人間です。ただ食べ物がないから非常事態に訴える人がいるだけで、本当は誰もが一日も早く人間本来の心を取り戻せるよう願っているんです。どうかこれ以上、醜い争いや一家心中のような悲劇が起こらないよう、ひとりの国民としてお願いします。」

第22話 「一億人を救え!!」より

大臣に直訴することと、このセリフの内容、なかなか他の特撮番組では見ることはないだろう。レインボーマンは敵の陰謀を阻止し、解決することの難しさが丹念に描かれたからこそ、この名場面が生まれることになったのだ。

タケシの真っ直ぐな姿勢と時に見せる弱さは、ヒーローとして完全ではない、まさしく一人の人間、ひとりの国民としてのヒーローであり、混乱の中でも人間を信じる。

これぞまさしく、レインボーマン=ヤマトタケシが愛の戦士であることを象徴している。

経済混乱が起きてそれに翻弄される人間達を生々しく見せつけてきたレインボーマンレインボーマンと対等する悪の組織・死ね死ね団はその名前とテーマである意味有名だが、実力もトップクラスであり、その実績としてM作戦が挙げられることが多いと思う。また、M作戦を遂行するために死ね死ね団が宗教団体を隠れ蓑したところもなんとも恐ろしいことだろう。レインボーマンは特撮という非現実とリアリティが絶妙なバランスで同居している。その作風こそ、レインボーマンの魅力の一つである。

この回からタケシの父も登場し、M作戦編はクライマックスに向けて動き出す。

果たしてレインボーマンの思いが政府を動かすのか?

暴徒と化した日本人の行き着く先は?

興味がある人は是非、レインボーマンを見て欲しい。

 

レインボーマン M作戦編 DVD

第22話 「一億人を救え!!」が収録されているのはVOL.4

愛の戦士レインボーマンVOL.3 [DVD]

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愛の戦士レインボーマンVOL.4 [DVD]

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レインボーマン 愛すべき主人公ヤマトタケシ

以前、愛の戦士 レインボーマンの敵組織死ね死ね団について語った。そして今回は主人公のヤマトタケシを語りたい。 レインボーマンは他の特撮番組と比べると異色であるが、それは主人公ヤマトタケシの存在が異色だからである。「愛の戦士」レインボーのヤマトタケシは最も愛すべき存在だ。

ヤマトタケシ

ヤマトタケシはぴっちりした七三分けと、水晶のように澄んだ目が特徴的な青年である。

彼こそ、レインボーマンに化身する能力を持っている。タケシは下町の黒豹というニックネームを持ち、高校レスリング会の実力者だったが血の気が多く、大会で負傷者を出し高校レスリング部を除名されてしまった。それから高校中退し、大金を稼ぐためにプロレスラーを目指すが全く通用しない。その時、インドの山奥に住む超能力者ダイバ・ダッタの存在を知り、その力を会得するために単身インドに渡った。

当時インドとパキスタンは戦争中(印パ戦争)である。彼は交戦地帯のインドにも関わらず、目的を達するためには我が身の危険など顧みない。 そんな猪突猛進な性格が災いして銃弾を浴びもしたが、ダイバと出会い一年間の修行を経て、レインボーマンの力を会得した。 それから数奇な巡り合わせで日本人抹殺を企む死ね死ね団と出会い、彼のレインボーマンとしての使命=死ね死ね団との戦いが始まる。

タケシはクセが凄い人物であるが、プロレスラーを目指したのには理由があった。妹みゆきが交通事故で左足が不自由になり、その手術代を稼ぐためである。根は優しいのだ。

そんなヤマトタケシを象徴するのが初期のEDテーマヤマトタケシの歌である。

自分のしあわせ 守りたい 僕だって人間だ 僕だって若いんだ

「ヤマトタケシの歌」 作詞 川内康範 作曲 北原じゅん 歌 安永憲自(現:水島裕) ヤングフレッシュ

本編のタケシはここまでナイーブではないが、イメージとしてはしっくりくる。そして本編のED映像は印象的で、タケシが夕暮れをバックにチンピラと格闘という非常に哀愁漂うものとなっている。

レインボーマンは不死身ではない

レインボーマンは日、月、火、水、木、金、土からなる7つの化身の超能力を持ち、様々な術を会得している。

七つの化身

ダッシュ7 太陽の化身 基本的にダッシュ7に化身してから状況に応じて他の化身にする。だがダッシュ7に化身なくとも他の化身に化身することは可能。

ダッシュ1 月の化身

ダッシュ2 火の化身

ダッシュ3 水の化身

ダッシュ4 草木の化身

ダッシュ5 黄金の化身

ダッシュ6 土の化身

だがその能力にも限界がある。力を使い果たすとヨガの眠りという、5時間の仮死状態になって力を蓄えなければならない。さらには敵の攻撃を受けて負傷することも多々ある。レインボーマンは不死身のヒーローではない。

タケシは戦うことで人間として大きく成長ていくが、敵の死ね死ね団は強大な悪の組織で、潰しても潰しても手を替え品を替えて挑戦してくる。その戦いの中でタケシの周辺人物が犠牲となり、タケシは己の無力さを痛感する。また、家族と恋人・淑江との間で揺れ、レインボーマンとしての使命に苦悩する場面も多々あった。

タケシは家族と淑江に自らがレインボーマンではあるとは明かさず、「レインボーマンと共に死ね死ね団と戦っている」と説明している。自身がレインボーマンである事を明かさない理由は不明だが、淑江にはレインボーマンとしての本音を吐いたことがある。そこにタケシ=レインボーマンの全てが集約されていると思う。

レインボーマンは宇宙から来たスーパーマンじゃないんだ。ロボットでもサイボーグでもないんだ。レインボーマンは人間なんだ。力の限り生きている人間なんだ。

第35話 「姿なき黒い手」より

やはりレインボーマンは不死身ではない、しかもできることにも限りがあるということだろう。

愛すべき主人公 ヤマトタケシ

ヤマトタケシは自らに課せられた使命に葛藤し、時に戦いの痛みを感じるという非常に人間味のある主人公として描かれた。劇中ではその人間味が人を惹きつけるのか、ヤッパの鉄というやくざを更生させ、兄貴として慕われる。

ヤマトタケシを演じたのは水谷邦久氏。現在は俳優業を引退されているが非常に存在感のある演技で、ヤマトタケシは強烈なインパクトを放つと同時に、どこか親しみを感じるキャラクターとなった。さらにはレインボーマン太陽の化身・ダッシュ7も水谷邦久氏が演じている。ダッシュ7のコスチュームは目が露出する構造で水谷邦久氏の澄んだ目が映えている。その目はアクションシーンやシリアスなシーンにおいて重要な役割を果たしていた。目から伝わるあらゆる感情・・・、それがレインボーマンの特徴でもある。また、敵の攻撃を受けた時のうめき声がいかにも苦しそうで、一度聞いたらなかなか忘れることができない。聴き慣れていくとある種の魅力を感じてくる。

サイボーグ軍団編・第43話ではなんと、水谷邦久氏がヤマトタケシとしてヤマトタケシの歌を唄っている!!4クール目になり、レインボーマンという作品がフィナーレに向かう中、ヤマトタケシの歌を唄う水谷邦久氏が見られるというのはとても感慨深い。

愛の戦士 レインボーマンは今でも多くの人に支持される作品である。インパクトのある作風、個性的な設定等の様々な魅力を持ち、作品を通したメッセージは現在の日本を予見していたと言われている。2016年には廉価盤DVDが発売された。 もし主人公であるヤマトタケシに会いたいと思ったなら是非、愛の戦士 レインボーマンを見てほしい。

愛の戦士レインボーマンVOL.1 [DVD]

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愛の戦士レインボーマンVOL.8 [DVD]

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Mr.Children「Tomorrow never knows」について

Mr.Childrenが3年4ヶ月ぶりにニューアルバム「重力と呼吸」を発売し、アメトーークではMr.Children芸人があった。

重力と呼吸

重力と呼吸

 

当ブログではたびたびMr.Childrenの歌詞を引用していたので、今回は「Tomorrow never knows」について語っていきたい。

Tomorrow never knows

Tomorrow never knows

Tomorrow never knows

作詞・作曲 桜井和寿

1994年11月10日 トイズファクトリー 発売

B面 「ラヴ コネクション」

ドラマ「若者のすべて」の主題歌

Tomorrow never knows」は現時点でMr.Children最大のヒット作である。

それだけに"とどまらず"この曲にまつわる逸話も凄い。

桜井さんが石神井公園でランニング中に歌詞の一部を思いつき、プロデューサーの小林武史氏と30分くらいでこの曲のほとんどを作ってしまったという。やはり「Tomorrow never knows」は生まれるべくして生まれた名曲なのだろう。

好きな曲で1位を決めることはできないが、「Tomorrow never knows」は最も聴いてる曲で、カラオケでキーは下げるが毎回ひとりで熱唱している。さらに自分と「Tomorrow never knows」がシンクロしたことがあり、かなり思入れのある曲だ。それが「Tomorrow never knows」を語りたい一番の理由だが、そのエピソードについてはこの記事の最後に語りたいと思う。

数年前にテレビでヒャダインさんが「Tomorrow never knows」のイントロについて熱く語っていた記憶がある。「Tomorrow never knows」のイントロはかなり印象的で、そのイントロから始まる聴き心地いいメロディーに乗せた壮大なメッセージは多くの人の人生に寄り添い勇気づけてきた。またPVも秀逸で、特に大サビの"断崖絶壁で歌う桜井さんの姿"はこの曲の魅力の一つと言っても過言ではない。この断崖絶壁はオーストラリアのグレートオーシャン・ロードでヘリコプターを使って撮影されている。PVで聴くとこの曲は一層味わい深い。以前はYouTubeの公式チャンネルでPVを視聴可能だったが残念ながら削除され、2018年3月21日に発売されたLive Blu-ray・DVDに「Tomorrow never knows」を含むMr.Childrenの名曲達のPVが特典映像として収録されている。

ここから「Tomorrow never knows」の歌詞について語っていこう。

歌詞を要約すると若気の過ちを悔みながら自分の人生を振り返り、人間、社会などに葛藤を抱きながら、それでも明日を生きようといった感じ。そこに"桜井さんの詩のマジック"がかかって素晴らしい歌詞となっている。

ドラマ「若者のすべて」の主題歌の「Tomorrow never knows」はドラマの題材である若者をテーマにした歌詞だと思われる。ちなみに「若者のすべて」の最終回のサブタイトルは「誰も知ることのない明日へ…」で「Tomorrow never knows」歌詞の一部である。

若者・・・。Tomorrow never knows」当時の桜井さんは24歳である。24歳で後世に残るであろう名曲を作ってしまったのは本当に驚きだ。若者が持つ特有の感性をそのまま表現するのは非常に難しいと思う。だが桜井さんは当時から自分の人生を達観しているようで、だからこそこの歌詞を書けたのかもしれない。

Tomorrow never knows」の歌詞と曲調は90年代の閉塞感があり、1番と2番は葛藤のイメージが強い。無邪気、夢中というのは時に虚しいことにつながってしまう。

そこから大サビでそれを吹っ切るように疾走感溢れていく。PVでの"断崖絶壁で歌う桜井さん"はよりそのイメージを強調し、さらには曲のスケールを壮大なものにしている。

"心のまま僕はゆくのさ 誰も知る事なのない明日へ"

2番のサビと大サビの両方で登場するフレーズだが、2番と大サビではかなりニュアンスが変わり、人生で経験した負の感情と正の感情も引っくるめて明日を生きていく、それが「Tomorrow never knows」だ。

最後に約束通り「Tomorrow never knows」と自分がシンクロしたエピソードを語ろう。それはまだ「Tomorrow never knows」のPVがYouTubeの公式チャンネルで見れた頃の話だ。バイト出勤前に公園で「Tomorrow never knows」を聴いていた。その頃、色々と人生で思うことがあり、さらには持病の潰瘍性大腸炎(IBD)が発症し始めた時期でもあった。半ば「Tomorrow never knows」の歌詞と自分を重ね合わせていて、そこでハッと気づいた。自分の服装は「Tomorrow never knows」のPVの桜井さんとほぼ一緒だった。自分の服装はバイトの制服の白いYシャツと黒いスラックスだ。さらにまたある事に気がついた。当時の自分の年齢は24歳であった。そしてその後、潰瘍性大腸炎で倒れて入院することになる。

自分の人生のある意味ではターニングポイントでこのような事が起きたのは貴重な体験と言える。たかが偶然に過ぎないが、

それは偶然が僕にくれた さりげない贈り物

「旅立ちの唄」

作詞・作曲 桜井和寿

Mr.Children

だとしたらそれはそれでいい。いや、その方がいい。

Tomorrow never knows」の当初のタイトルは「明日への架け橋」でそっちのタイトルも割と好みだが、実際は「Tomorrow never knows」として世に出た。そして「見えない明日」に思いを馳せながら、今でも「Tomorrow never knows」は沢山の人が聴いている。

関連記事(「Tomorrow never knows」引用)

特捜最前線 第505話「地上げ屋殺し」について - マサキの部屋

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レインボーマン 死ね死ね団について

死ね死ね団・・・・・・。

ポケモンわざマシン28「しねしねこうせん」を想起させるふざけたネーミングの悪の組織で、昭和の特撮番組「愛の戦士 レインボーマン」に登場する。

その死ね死ね団には「死ね死ね」と何十回も連呼する、一度聞いたら忘れられない「死ね死ね団のテーマ」があり、カルト的な人気を誇っている。

今回は死ね死ね団について語るのだが、その前に「レインボーマン」について説明しなければならない。

愛の戦士レインボーマン

1972年10月6月〜73年9月28日(全52話)NET(現:テレビ朝日)系で放送。製作は東宝、原作は川内康範氏だ。日本のヒーローの元祖「月光仮面」の原作者である川内康範氏の作風は仏教をバックボーンとし、「レインボーマン」のキャラクターと設定はその最たるものと言える。そして「レインボーマン」と、後に製作された川内康範氏原作の特撮番組「ダイヤモンド・アイ」(東宝)、「コンドールマン」(東映)は川内康範三部作とされている。

レインボーマン」は1話完結ではなく連続モノで、毎回怪人が登場しないストーリー重視の内容だ。ストーリーの進行の中に敵味方問わず登場人物の人物像と、死ね死ね団レインボーマンの攻防がキッチリ描かれた。当時の特撮番組は人気がなければ1クールまたは2クールで打ち切られてしまうので、「レインボーマン」の全52話=4クールは大往生である。また当時、主題歌「行けレインボーマン」の替え歌が流行ったらしくそこからも「レインボーマン」の人気の高さが伺える。

レインボーマン」の主役はヤマト・タケシ(演:水谷邦久)で、ヤマトタケシがインドの山奥でダイバダッタ(演:井上昭文)の元で修行し、レインボーマンに化身する能力を身につけた。レインボーマンとは如来の力によってもたらされた七つの超能力を持つ化身である。

七つの化身

ダッシュ7 太陽の化身

ダッシュ1 月の化身

ダッシュ2 火の化身

ダッシュ3 水の化身

ダッシュ4 草木の化身

ダッシュ5 黄金の化身

ダッシュ6 土の化身

ダッシュ7がレインボーマンの本体で、基本的にはダッシュ7になってから臨機応変に他の化身に化身する。

多種多様な能力を持つレインボーマンだが、力を使い果たすとヨガの眠りという、全身が石化し座禅を組んだまま、5時間仮死状態となって力を蓄えなければならない。それはレインボーマン最大の弱点ではあるが、ストーリーの緩急をつけるためには効果的な設定だったと思う。

ヤマト・タケシについては個別の記事でじっくりと語りたいので、ここからは本題の死ね死ね団について語っていく。

死ね死ね団は日本人抹殺を企む組織でリーダーは謎の紳士ミスターK

死ね死ね団は特撮界の名だたる悪の組織の中でもガチ勢に属している。

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御多福会という宗教団体を隠れ蓑にニセ札をばら撒き日本経済を混乱させたり、複雑な外交情勢につけ込み諸外国の外交官を暗殺し、日本を世界から孤立させようとするなど、ふざけたネーミングとは裏腹に死ね死ね団は日本国家に実害のある作戦を展開してきた。

劇中ではタケシの母ヤマト・たみ(演:本山可久子)や周辺人物の会話から死ね死ね団の作戦が一般市民の生活に多大なる影響を及ぼしていることが分かり、その実害も具体的に描かれていった。

そんな死ね死ね団はキャラクターも濃い。

死ね死ね団リーダー・ミスターKは"日本人が世界侵略"をしていると考え、それを阻止するために行動を開始した。事がうまく運ばないと感情的になりやすく、失敗した部下はすぐに処刑してまう独裁者。国籍不明だがたまに"ルー語(懐かしい)"のような英語を話す。

ミスターKを演じたのは東宝特撮ではお馴染みの平田昭彦氏。東映の特撮番組では大鉄人17(77年)のキャプテンゴメスを演じた。平田昭彦氏は紳士的な人物だったようでミスターKははまり役と言われている。

さらに死ね死ね団の幹部達は美女ばかり。恐ろしい悪の組織に華を添えつつ、女同士の戦いも繰り広げ番組を盛り上げた。

男性幹部も存在するが戦闘員とは変わらない出で立ちで、その出で立ちは緑色の制服にマスクを被り、テンガロンハットである。特にマスクのデザインが何をモチーフにしているは不明で非常に不気味。

2016年1月20日レインボーマンの廉価版DVDが発売され、付属の冊子にレインボーマンの脚本を担当した伊東恒久氏のインタビューがあり、そこで死ね死ね団のルーツを語っていたのでその一部を引用したい。伊東恒久氏はダイヤモンド・アイ、コンドールマンの脚本も担当、川内三部作全てを手がけている。

伊東  日清、日露戦争後に欧州全体に広がった人種差別政策で、日本人(アジア人)を世界からはじきだそうとする「黄禍論」とヒトラーが唱えた選民思想や、彼が行ったホロコーストなどをベースにして死ね死ね団という秘密組織を作ったんです。

脚本家 伊東恒久インタビュー1

2015年10月8日インタビュー

文・構成 石井良和

DVD 愛の戦士レインボーマン キャッツアイ作戦編 2  より

「黄禍論」は要約すると黄色人種がやがて白人社会・国家にとって脅威になると主張したものだ。

レインボーマン ダイヤモンド☆アイ コンドールマン大全 70's川内康範ヒーローの世界」(岩佐陽一 編  双葉社)ではレインボーマンの企画書が収録され、そこにも死ね死ね団が「黄禍論」をベースにしていると記されている。

ヤマト・タケシのヤマト家の墓標には大和と刻まれ、ヤマト・タケシ=レインボーマンと日本人を抹殺を企む死ね死ね団の戦いはまさに日本(大和)と「黄禍論」の戦いだ。「黄禍論」をベースにここまでの作品を作ってしまったのは本当にすごいと思う。放送コードが緩かった時代だがらこそ出来たのだろう。

特撮番組は子供向けである。表向きは"分かりやすい"善と悪の戦いの構図だが、その裏ではそういったものがベースとなっていることがある。爪痕を残した作品というのは得てしてそういうものかもしれない。

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劇場版の東映版遊☆戯☆王が与えた"可能性"

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・・・ということで、今回は劇場版の東映遊戯王について語っていきたい。

東映遊戯王、それは知る人ぞ知る黒歴史扱いされた埋もれた名作である。

東映遊戯王遊戯王のアニメ第1作目で、その名の通り東映アニメーションによって製作され、テレビ朝日系で放送されていた。"正史"である第2作目の遊戯王DMから現在に至る遊戯王アニメシリーズの製作会社とは異なり、それを区別する為に東映遊戯王と呼ばれているが、東映遊戯王のキャラクターデザインスタッフは遊戯王DMに引き継がれているので、両者にはまったく関連性がないという訳ではない(遊戯王DMからはテレビ東京系で放送)。

東映遊戯王黒歴史扱いをされているが、正直なところ詳しい理由は分からない。VHSとしてソフト化されて以降、現在DVD・Blu-ray化されずにいることがそれに拍車をかけている。さらにVHSという性質もあって視聴するのは困難である。また、東映遊戯王は全27話で打ち切られているため、それが黒歴史扱いの原因かもしれない。

私は2007年当時、ちょうどレンタルビデオショップからVHSが完全に絶滅する寸前に東映遊戯王を奇跡的に視聴することができた。

全話視聴した訳ではないが(ガイドブックやサイト等で一応、全体的な内容は把握している)、東映遊戯王は非常に素晴らしかった。カードバトルに至っては原作の初期のルールのため、遊戯王DMに比べてデュエルの迫力やスリリングさは欠けるが、それはそれで味がある。

アニメ第2作目の遊戯王DMは原作のカードバトル路線以前のエピソードはバッサリカットし、第1話で遊戯と城之内の"友情"が芽生えたエピソード(原作第1話)と海馬との因縁を描いただけで、すぐに王国編に移行する。一方東映版遊戯は駆け足で急いだ感もあるが、原作の第1話からカードバトルまでをアニメオリジナルストーリーを挟みつつ描いていった。

原作のカードバトル以前の遊戯王は、闇遊戯が悪役を闇のゲームで懲らしめるという勧善懲悪モノだった。なので東映遊戯王の闇遊戯はヒーローの印象が強く、かなりカッコ良かったのだが、遊戯王DMの闇遊戯ではアニメオリジナルストーリー等で弱さ・脆さが強調され、闇遊戯を演じた風間俊介さんの代表作「金八先生」の兼末健次郎とダブる部分があり、東映遊戯王の闇遊戯とはだいぶ印象が異なる。

東映遊戯王のキャストは豪華で、武藤遊戯/闇遊戯を演じるのは緒方恵美さんだ。東映遊戯王の闇遊戯がカッコ良いとさっき述べたが、緒方恵美さん演じる闇遊戯はクールでどこか妖艶な魅力を放っている。

遊戯の永遠のライバル・海馬を演じるのは緑川光さんで、海馬の髪色は緑色、ファンにはキャベツと呼ばれている。そして闇遊戯と同様海馬のキャラクターも遊戯王DMとは異なっている。

その他のキャストは、

・城之内:森川智之

・本田:置鮎龍太郎

・杏子:かかずゆみ

・野坂ミホ:野上ゆかな(現ゆかな)

・双六:青野武

かなり豪華だ。ゲストキャラの声優も豪華なので興味ある方は是非調べて欲しい。ちなみにシャーディーを演じたのは故塩沢兼人さんで、ミステリアスな存在のシャーディーには本当にぴったりだった。

なぜか本田は原作とは全く違うキャラに変更され、不良ではなく美化委員に所属する真面目キャラになった。さらに原作ではゲストキャラの本田の片想いの相手・通称リボンちゃんの野坂ミホがレギュラーに昇格している。

東映遊戯王はOP・ED共に素晴らしい。

・OP「渇いた叫び」 FIELD OF VIEW

作詞・作曲 小松未歩 編曲 小澤正澄

・ED 「明日もし君が壊れてもWANDS

作詞 坂井泉水 作曲 大野愛果 編曲 WANDS

主題歌はビーイング系アーティストが担当し、劇中の音楽もビーイングだ。これはこれで語りたいのでまた別の機会にしよう。

前置きだけでかなり長くなってしまったが、それでは本題に入りたい。

東映遊戯王の劇場版は1999年に公開された、30分程度のオリジナルストーリーである。

脚本を手がけたのは小林靖子氏で、平成の東映特撮ではお馴染みの方だ。それ故に闇遊戯のヒーロー性が増した印象を受ける。

あらすじ

デュエルに勝てない少年・翔吾は幻の超レアカード「真紅眼の黒竜」を当てたことで、デュエルをせずとも自分は強いと主張する。そんな翔吾は「真紅眼の黒竜」を所持しているため、海馬のレアカード狩りのデュエルに無理やり招待されてしまう。だがそれは遊戯をおびき寄せるための海馬の罠だった。

ひとつ残念なのは劇場版の海馬の髪色は緑色ではない。遊戯王DMの海馬に髪色と性格が近くなっている。

ストーリーは翔吾を軸に進行していくのだが、「真紅眼の黒竜」が物語のキーカードであり、同時にテーマも担っている。

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蒼き龍は勝利をもたらす

しかし 紅き竜がもたらすものは勝利にあらず可能性なり・・・

ただし 戦う勇気があるものだけに

劇場版 遊☆戯☆王 のセリフより引用

蒼き龍は「青眼の白龍」、紅き竜は「真紅眼の黒竜」のことで両者は遊戯王の象徴的存在である。「真紅眼の黒竜」は「青眼の白龍」にステータスで劣るため勝利をもたらすのではなく、あくまで"可能性"とされている。

その可能性は"融合"で「真紅眼の黒竜」は「メテオ・ドラゴン」と融合することで「メテオ・ブラック・ドラゴン」となり、「青眼の白龍」を凌駕する存在となる。原作でも「真紅眼の黒竜」は「デーモンの召喚」と融合することで「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」になることができる。

「真紅眼の黒竜」はデュエルに勝てず、デュエルすら恐れるようになった翔吾に勝利の可能性を示しながら、勇気を導く存在なのだ。

東映遊戯王によって「真紅眼の黒竜」は勝利の可能性をもたらすという役割を与えられたことにより、現実でも「真紅眼の黒竜」は幾多の可能性を得ることになった。

その可能性の一部である、「メテオ・ドラゴン」について遊戯王カードWikiから引用する。

東映版アニメのオリジナルモンスターでありながら、KONAMI遊戯王OCGでもカード化を果たしたという珍しいカードである。

遊戯王カードWiki から引用

メテオ・ドラゴン」は東映遊戯王が生み出したもので、その融合体の「メテオ・ブラック・ドラゴン」も同様だった。

2016年に「メテオ・ドラゴン」は「真紅眼の凶星竜ーメテオ・ドラゴン」、「メテオ・ブラック・ドラゴン」は「流星竜メテオ・ブラック・ドラゴン」としてリメイクされた(2015年には「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」は「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン」としてリメイクされている)

さらに2017年には「真紅眼の黒竜」の新しい可能性として、融合モンスターの「真紅眼の黒刃竜」がOCGで登場した。

さまざまな「真紅眼の黒竜」の可能性があるなかで、特に「流星竜ブラック・メテオ・ドラゴン」は真紅眼デッキで大活躍している。

東映遊戯王は「真紅眼の黒竜」に可能性という大きな財産を残していった。

東映遊戯王黒歴史扱いを受けている。明日もしその存在が消えたとしても我々の記憶からは消えることはないだろう。なぜなら「紅き竜」がその存在を追憶させつつ、デュエリスト達に今もなお勝利の可能性をもたらしているのだから。

 

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