マサキの部屋

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北斗の拳 南斗聖拳シン! お前は報われぬ愛に命をかけた!!

このブログを立ち上げる前にプロトタイプ版「マサキの部屋」を開設しており、ブログのコンセプトは特に無いまま数ヶ月間続けていた。

現在は削除して存在しないが、今回はプロトタイプ版「マサキの部屋」の記事を自分の記憶を頼りに、手直しして等ブログの記事としたい。

記事の内容はタイトルの通り、南斗聖拳シンについてである。

南斗聖拳シン!お前は報われぬ愛に全てをかけた!!」

かなり熱いサブタイトルであるが、これはアニメ「北斗の拳」第78話のシンの総集編のサブタイトルで、シンというキャラクターを見事に表現している。ここまで熱いサブタイトルをつけるのは、やはりアニメ版「北斗の拳」のテンションの高さ故で、それも魅力のひとつであろう。

北斗の拳 -FIST OF THE NORTH STAR-

北斗の拳」は原作:武論尊氏、作画:原哲夫氏の週刊少年ジャンプで1983〜1988年まで連載されていた漫画である。

北斗の拳」は今もなお根強い人気を誇っており、単行本や愛蔵版、文庫版など様々な形式で発売され、登場キャラクターのスピンオフ作品も数多く存在する。

テレビアニメはフジテレビ・東映制作で、1984月10月11日〜1988年2月18日まで放送されていた。アニメ「北斗の拳」は原作の魅力である"人体の爆発"等のグロテスクな表現はシルエットや透過光で抑えられている。ストーリーやキャラクターも一部改変し、アニメオリジナルの要素も付け加えられているが、「北斗の拳」はアニメ化によってケンシロウ(声:神谷明氏)をはじめとするキャラクターに声が吹き込まれ、世界観をイメージしやすく、より親しみやすいものとなった。また、ナレーションと数々の雑魚キャラなど担当した千葉繁氏はアニメ「北斗の拳」の象徴である。

アニメの主題歌によって楽曲という形でも「北斗の拳」の世界観が表現され、「愛をとりもどせ!!」や「TOUGH BOY」などの名曲を生み出していった。

北斗の拳」は主人公・北斗神拳伝承者ケンシロウが旅をしながら世紀末に生きる悪党や覇権を目指す漢達と戦っていく物語である。

その戦いはやがて、ケンシロウの義兄・世紀末覇者拳王ことラオウ(声:内海賢二氏)にまで至る。

ケンシロウと共に旅をするのが、少女リン(声:鈴木富子氏)と少年バット(声:鈴木みえ 現・一龍斎貞友氏)。二人はケンシロウという大きな存在に触れたことにより、子供ながら人間として大きく成長し、敵・味方問わず散っていった者達の生き様を見届け、次第に世紀末の希望を担う存在となっていく。

北斗の拳」の血生臭い世界観の中で描かれるテーマは「愛」である。

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無料の写真素材はフリー素材のぱくたそより北斗七星の画像  君は北斗七星のとなりに輝く恒星が見えるだろうか?

殉情系男子シンのサザンクロス

南斗聖拳 シン(声:古川登志夫氏)

北斗の拳【究極版】 2 (ゼノンコミックスDX)
 

シンは南斗聖拳の流派・南斗弧鷲拳の伝承者で、南斗六聖拳の愛に殉じる宿命・殉星の男だ。ケンシロウとは友人の関係であった。

北斗の拳」のむさ苦しい漢達と比べるとシンかなりの美男子である。

シンは「北斗の拳」のヒロイン・ユリア(声:山本百合子氏)が昔から好きだった。そのユリアはケンシロウの婚約者である。

シンの南斗聖拳ケンシロウ北斗神拳の関係については原作の初期で語られている。

天空にふたつの極星あり すなわち北斗と南斗 

森羅万象二極一対 男と女 陰と陽 仁王像の阿と吽 

暗殺拳しかり北斗神拳南斗聖拳 

経絡秘孔を突き 内部からの破壊を極意とする北斗神拳を陰とするならば 外部から突きいれすべてを破壊する南斗聖拳は陽

南斗聖拳北斗神拳は争ってはならないという教えがある。

だがシンは友人ケンシロウを裏切り、ケンシロウに北斗七星の形の7つの傷をつけ、婚約者ユリアを奪い去る。そして関東一円を支配する暴力組織KINGの首領として世紀末に君臨する。

そう、シンはケンシロウの長い旅ー強敵(とも)をその手で倒さねばならない宿命に導いた人物なのだ。

ケンシロウと友人関係だったということは、シンは根っからの悪党ではなく、後にシンが凶行に走った理由が明かされる。

シンの登場は原作の序盤で、後に登場するクセの凄い漢達(大物、小物含めて基本的にクセが凄い)と比べると控えめな気がしてしまうが、初登場時には全裸でかつ、女性二人を侍らせるという初期のキャラクターにしてはかなりのインパクトがあった。

アニメでは出番が大幅に増えており、第22話まで登場。それに伴い、"囚われの身"のユリアの出番も増えている。原作とは違い、KINGの傘下にはGOLAN、ジャッカルが加わり、アニメオリジナルのある意味では有名な南斗列車砲やヘリコプター軍団、後にクーデターを起こす将軍バルコムなどが存在し、組織の規模がかなり拡大されている。シン編終了時には第1部完と表示され、原作と比べて待遇が良い。

シンの組織KINGの本拠地の名はサザンクロス。サザンクロスは南十字星である。組織の紋章は血の十字(ブラッディークロス)としている。シンは何かと十字に拘っている。

本拠地サザンクロスはそもそも、ユリアのために築いた町であった。

暴力組織の首領シンは虐殺者であるが、ユリアにだけは優しい。どんなにユリアに拒否されても、その手を挙げたことはない。

そんなシンの強引な愛情にユリアは心変りせず、ひたすらケンシロウを愛し続ける。

たとえ、サザンクロスという町を築き、ユリアに女王という地位を与えようとしても、それはただ虚しいものだった。アニメでは将軍バルコムがクーデターを起こし、サザンクロスは炎上してしまう。原作よりもサザンクロスは悲劇性が強調されている。

私が「北斗の拳」をはじめて読んだのは中1で、夜のニュースの原哲夫氏の特集を見て興味を持ったのがきっかけだった。正直、今の今までシンにはあまり感情を抱かなかったが、後述するシンの遺した言葉の意味が分かった時、シンに対しての見方が一変した。

愛ってなんだろう?

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そんなセンチメンタルな疑問を抱いた人は少なくはないはず。愛とは答えがあるようで無い、もしくは無いようである、答えは人それぞれが出すもので、その答えはたくさんあっていい。

基本的に愛は美しいものとされ、ロマンチックなイメージである。

だが物事には裏と表がある。違う言い方をすれば、陰と陽だ。

北斗の拳」は愛がテーマで、主人公・ケンシロウは愛のために戦うと宣言したことがある。ユリアと結ばれているケンシロウはまさしく陽の愛の体現者といえる。ならばシンはユリアを一途に想い過ぎた結果、友人ケンシロウからユリアを奪い去ってしまう、陰の愛の体現者だろう。「北斗の拳」の覇権を目指す漢達も根本は愛によって翻弄された者だったりするのだ。

シンはかなりの美男子なのでふつうにモテそうだが、愛のために殉じなければならないという星の元なので、ユリアを一途に追い求めて、ケンシロウから奪い去ったのはある意味では必然なのだろう。

もしかしたら、ユリアの気を引きたいがためにシンは自分を磨いてあのルックスになったのだろうか?

アニメのシンの総集編では、ケンシロウがシンのことを振り返った時にこんなセリフがあった。

「そうすることでしか、愛を表現出来ぬ男だったのか。悲しき男よ・・・。」

アニメ 北斗の拳 第78話「南斗聖拳シン!お前は報われぬ愛に全てをかけた!!」より

これはシンの核心をついていると思う。シンはケンシロウと結ばれているからこそ、ユリアに"そうすることでしか、愛を表現"できなかったのだろうが、シンの報われぬ愛に全てをかける様はあのゲーテの名著「若きウェルテルの悩み」の主人公・ウェルテルのようだ。「若きウェルテルの悩み」はゲーテ自身のエピソードがベースになっているという。あのナポレオンも愛読したそうだ。ウェルテル=ゲーテの恋した人妻シャルロッテはその存在だけで人を魅了する。なんだか、ユリアとダブる気がしなくもない。そして、報われぬ愛に全てをかけたウェルテルは破滅に向かってく・・・。

長々と書いたが、シンの暴力を肯定するわけではないし、結局シンの愛情は独り善がりなものだ。独り善がりな愛情ほど迷惑なものはないだろう。善かれと思ってやってる本人にその自覚はない。愛は盲目にさせるのだ。現実に考えたらシンの場合は極端ではあるが、やはり方法は間違えてはならない。

だが、自分で行動を起こさなければ愛は掴み取れない。もしかしたら迷惑かな?と考えれば考えるほど、どつぼにはまって失敗する。だから、愛は陰と陽が存在する。まさに混沌だ。

シンは最後にケンシロウにある言葉を遺した。この言葉こそ、今回の最も重要な部分だ。

しかし こんな町も富も名声も権力も・・・・・・むなしいだけだった

おれが欲しかったものはたったひとつ

ユリアだ!!

アニメでは「ユリアだ!!」と叫んでいる。

私は好きな人に好かれたいと奔走して虚しい結果に終わったことがある。たしかに前よりは自分は変われたかもしれないと、無理矢理自分を納得させ、次は大丈夫だと励まされた。そしてその時シンのこの言葉がよぎった。まさにシンの遺した言葉の意味が分かった瞬間だった。シンに今の今まで感情を抱いたことはないが、この言葉にはものすごく共感した。

北斗の拳のED「ユリア...永遠に」の2番の歌詞はシンの視点の方がしっくりくる。それは「北斗の拳」ファンも指摘している。

夢より愛する君が欲しい 全てが...

「ユリア...永遠に」

 作詞:野元英俊/田中昌之  作曲:今給黎博美  

クリスタルキング

「女は星の数ほどいる」といった言葉があるが、そんな言葉になんの意味があるのだろうか・・・。

シンはサザンクロス=南十字星をユリアに捧げようとした。南十字星は結婚指輪のデザインに使われている。十字の形から、十字架の前で愛を誓うというイメージだそうだ。面白いことに南十字星の近くには"にせ十字"が存在する。南十字星を見慣れていない人は"にせ十字"を南十字星だと思ってしまうらしい。

皮肉なことにシンはユリアに南十字星=サザンクロスを見ていたのではなく、"にせ十字"=ブラッディークロスを見ていたのだ。

 

シン編収録の第1巻

若きウェルテルの悩み (岩波文庫)

若きウェルテルの悩み (岩波文庫)

 

 

【参考資料】

北斗の拳 1 究極版 ゼノンコミックス 原作:武論尊 作画:原哲夫 (徳間書店)

僕たちの好きな北斗の拳  G.B.編(宝島社文庫)

北斗の拳 漫画・アニメ Wikipedia

シン リン バット 北斗神拳 Wikipedia

みなみじゅうじ座 Wikipedia

若きウェルテルの悩み ゲーテ竹山道雄 訳 (岩波文庫)

ゲーテ Wikipedia

 

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